こちらの記事では(2019年9月2日)に発売された

天を射るの最新話『30話』のネタバレや感想、考察

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天を射るの最新話『30話』のネタバレ

ドングリ切り

勘左衛門は今日も稽古に励んでいるところ、

半脱ぎの上半身に緊張をみなぎらせてひねり、

ひらりと舞わせた半紙を射るように見つめます。

 

脳裏には先ごろ見た見世物師の切り芸、

そして勘左衛門が教えを請うた時の男の顔が浮かんでいました。

 

“小判百両、でなければ能わず”

 

残像を振り払うかのように勘左衛門は、

一気に半紙を切りにかかりました。

 

「タァァァーー!!!」

 

パシッと見事に刀の刃が半紙に当たったものの、

受け止められただけで半紙は切れません。

 

首をひねりながら指を刃に当ててみますが、

プツッと指は切れて血が出ます。

「なぜ刃はこんなに切れるのに、薄い半紙は切れぬ・・・」

 

そして今日も例の見世物師がいる場所へ赴き、

とりあえず見物をしてみることにした勘左衛門。

 

「さあー、今日はこの生ドングリを

二間離れたこの子の頭の上に置き、それを真っ二つに切ります!」

男は言うやいなやブンと刀を振り下ろして風を起こしました。

 

起こった風が少女の頭の上にあるドングリを動かし、

コロリと転げ落ちそうになるドングリを見て

勘左衛門は思わず「危ない!」と駆け出し掛けます。

 

当の少女もバランスを崩したドングリの気配を察して

あ・・・、と動いた瞬間に、

男の目がはっしと対象をとらえて

軽やかに鋭く刀を横に払いました。

 

「動くドングリに刃を当てた!?」

驚きで声に出してしまう勘左衛門。

 

そして見事真っ二つにされたドングリはそのまま、

半分が男の手に取られていました。

 

「ほれ、この通り」

わあああっ・・・とギャラリーたちはどよめいて、

少女と男は観衆に向かってお辞儀をするのでした。

 

無動の極意

男と少女はそれから少し離れたところで、

ひと休憩しているところです。

 

「ほれ」、と男が少女に向かって

竹皮にくるまれた一個のにぎりめしを渡し、

少女の顔は嬉しそうにぱあっと輝きました。

 

しかし男はぱたぱたと顔を仰いでいて

食べる様子を見せないので、

少女が不思議がって「ととさまの分は?」と言います。

 

ととは腹がいっぱいじゃ、と言いながら

腹の虫を鳴らす男。

 

少女はそれを聞いてにぎりめしを笑顔で男に差し出し、

「お腹の虫さんにどうぞ」

「美和は優しいの」

男は娘である少女の頭を優しく撫でるのでした。

 

そこへ不穏な空気を感じ取って男は刀の柄に手を掛けます。

ザッ・・・と現れたのは勘左衛門でした。

 

「何用じゃ」

勘左衛門は自分の姓名を名乗って、

「お願いです!半紙切りの奥義をご教授頂けませんか!」

男に頼み込みますが依然無碍に断られてしまいました。

「くどい」

「友と約束したんです!無動の極意を会得しなくちゃいけないんです!」

 

無道の極意、の単語に反応する男。

しかしさり気なさを装って勘左衛門に聞き返します。

「弓に無動の極意・・・とな?」

 

そして弓をやはり否定する男に勘左衛門は

弓の凄さや自分の鍛錬を語って反論を。

 

「指紋が擦り切れるまで矢数をかけると、

千のうち1本はくらいは自分の思い通りに命中します」

それが嬉しくてつい続けていると

3千くらいの本数になってしまう、という勘左衛門。

 

「1日3千本?指紋が擦り切れるまで?」

そう聞き返す男に勘左衛門は両手を広げ、

証拠のあとを見せました。

 

無言で手を見つめている男に勘左衛門は、

「仲間もみな同じ感じです、強くなりたい一心で・・・」

 

紀州戦に臨んだ時に話が及ぶと男は、

「!」と勘左衛門を見かけたことに気づきました。

 

「自分の弓はまだまだだと感じました。

以来、思うように引けなくなって最悪です・・・。」

頂きにのぼりつめるためには一歩ずつ登らなければいけない、

つまずいても諦めずに、と熱が段々こもってくる勘左衛門

 

天を目指すということ

土下座して両ひざに置いた勘左衛門の拳が、

ここでギュッと固く握りしめられます。

 

「天を、目指さないといけねぇんです」

 

キッパリとまっすぐな瞳で背筋を伸ばし、

勘左衛門は男に自分の決意のほどを言い切りました。

 

しかし男はそれには答えずにやおら、

傍らで落ちた握り飯をむさぼっている野犬を見ます。

そしてその口元から握り飯を奪い取り、自分の口へ

 

ガツガツと喰う男を見て野犬はうらめしそうに、

よろよろと去っていきました。

 

「何を・・・」

呆気にとられる勘左衛門。

男は、犬がかわいそうか?と言いながら、

「お前がしようとしているのはこういうことだ」

 

そして「さ、美和行くぞ」と娘の手を取り、

背中を見せて去っていきました。

 

何が何だかわからずに取り残された勘左衛門は、

その後ろ姿を見送りながら少女に目を留めました。

 

擦り切れて汚れ、着古した着物、

そして何もつけずに泥だらけの小さな幼い足ー。

 

高みを目指すあまりに、見えていなかった現実がここに・・・。

 

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以上が天を射るの最新話『30話』のネタバレでした!

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天を射るの最新話『30話』の感想と考察

天を射るの最新話30話は、エゴの巻でした。

 

今まで理想や目的に燃える勘左衛門を

清々しいと思ってみてきましたが、

ここで男の発言によって冷や水を掛けられた思いでしたね。

 

もっと高く、は素晴らしいことですが、

現実の足元が見えていないということは

これ以上伸びがないという警鐘でもあったのでしょう。

 

男の正体も気になりますし、

エゴの訓練に気づいた勘左衛門の

シフトチェンジがどうなるのかも気になります。

 

次回も続きをお見逃しなく!

 

まとめ

ここまで天を射るの最新話『30話』のネタバレや感想、考察をご紹介してきましたが、

いかがだったでしょうか?

 

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