こちらの記事では(2019年8月17日)に発売されたキノの旅の最新話『28話』のネタバレや感想、考察を
文字だけご紹介しております。
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キノの旅の最新話『28話』のネタバレ
犬を連れて旅する男
雨の中、オープンカーで旅をする一人の男、
ずぶぬれのレインコートの胸の中には
一匹の犬が包まれています。
犬はおなかがすいたようです、
テントを張って犬に食事を与える男は
犬を見つめながら話しかけます。
「いざとなったら、おまえを食ってしまうからな。」
犬は男のところへ戻ってその指を舐め上げます、
それをみて男はつぶやきます
「そうか、おまえもそのつもりか。」
男は一本の太刀を持っています。
翌日、旅も4日目、
犬は助手席に乗って前を見つめています
どうやらいっぱしのガイド役気取りです。
明日は目的地の王国に着く予定、
これで犬も寂しいたびを終え
暖かい豪華なベッドに寝ることができるでしょう。
城壁の町
その翌日、たどり着いた王国は
城壁の中から黒煙が上がっていました。
城壁の門に近づくと二人の衛兵が車を止めました
男は犬を上着の中に隠して衛兵に話しかけます、
「旅のものだ、休憩で入国を希望したいのだが、
何が起きたか、訊ねてもいいかい？」
衛兵によればまさに今日、旧王家を打倒して
あらたな民主国家を樹立する革命が達成されたというのです。
城壁の中に入る事を許された男は
町中で革命成功と新政府樹立を祝う声
そして旧体制側の者たちが捕縛されている光景を目にします。
「おい、一昨日（おととい）入国していなくて良かったな」
男は犬に話しかけます。
王宮は厳重に警戒され、銃をもった兵士に囲まれています、
中に入るのは無理のようです。
そこに半袖シャツのスキンヘッドの男が話しかけてきました
「よう、遅かったな！
来いよ、隊長がお呼びだ。
その荷物も一緒でいいぜ？」
その男は前をすすんで案内してゆきますが、
通りには銃で撃たれた兵士の死体が並んでいます。
飼い主がつけた名前
やがて犬をつれた男は、
隊長と紹介された迷彩服の男に引き合わされました。
隊長といわれた男は傭兵のようで、
旧王国の打倒を目指す国に雇われて王宮への突入を請け負ったのです。
犬を届けるという任務は
王国の外部との軍事支援を得るための隠れ蓑として使われた任務で
実際には王宮内部のスパイが犬を買い付けるふりをして
革命をサポートする勢力との連絡を進めていたのです。
つまり、犬を連れてきた男は
革命が成功してしまった今となっては無用のもの、
隊長は男に向かって語りかけます。
「ついてこいよ、俺達の「戦果」を見せてやる」
連れて行かれた部屋には
床一面に血まみれの死体が並んでいました。
娘や幼い子どもの死体も多く見えます。
王家の血を引くものは一人残さず殺し、
王族の一族を根絶やしにすることを請け負ったのです。
犬の受取人になるはずだったのは誰なのか、という問いかけに
男を案内した半袖シャツの男は不思議そうに聞き返します
「おいおい、そんなことを知ってどうするんだ？
見て分かるだろ？王家の人間は全員くたばってるんだぜ？」
隊長は死体の列を振り返って答えました
「三列目の左端だ」。
そこにはドレスを見にまとった金髪の少女の死体が、
まるめた紙を両手で握り締めたまま
頭を打ち抜かれて血みどろになって寝かされていました。
少女の死体の側に膝をついた男がその紙を開いてみると
それは犬と遊ぶ女の子を描いた絵、
花と蝶に囲まれ、女の子と犬は笑顔で手をつないでいます。
明るい太陽、空には虹がかかって、
そして絵の真ん中には文字が書かれていました。
I and RIKU （わたしと陸）、
つたない字で書かれた文字を読んだ男は
外套から顔を出していた犬に話しかけました。
「そうか、お前は「陸」って名前だそうだ、
遠い国の言葉で、意味は「大地」、
そしてとても楽しみに待っていてくれたおまえのご主人様は今日死んだ」
「そうですか」
犬が男に言葉を返しました。
自分の生き方を決める者
犬が口を利くとは思っていなかった男は、
いつから話せるのかと聞きます。
「今です」
犬が言いました。
話せるようになった犬に
男は犬の主が死んだこと、そして犬はある意味で自由になったので
あとは自分の好きに生きるように伝えます。
犬が答えます
「大変有難いお言葉です、では好きに生きることにします。
わたしはあなたの僕（しもべ）になりましょう。
わたしは陸、以後、お見知りおきを」
男が断ると陸は、それならあなたがわたしの僕になりなさいといいます
それも断ると、犬はさらに
それではやはり自分があなたの僕だと言い返し、男の名前を聞きました。
半そでシャツの男が口を出しました
「おい・・・何ブツブツ言ってんだ？
お前は死体に話しかける性癖でもあるのか？
それを聞いて男は立ち上がり、
そのときに女の子と犬を描いた絵は落としてしまいます。
絵は女の子の右腕の下の血だまりにおちて血に汚れてしまいました。
男は自分の任務は終わった事を隊長につげ
このまま部隊を出ていくつもりだと告げます。
ご苦労だったと告げる隊長、
立ち去ろうとする男に、半袖の男が話しかけます
「ちょい待て、その犬は置いてけよ。
俺が飼い主の元へ・・・「届けて」やるよ！」
外套の胸のジッパーの間から顔を出す犬に伸ばす手を
男は太刀で払いのけます。
「おい・・・っ、何様のつもりだ？」
「届ける相手がいなくなった荷物だ、俺の好きにしていいだろう。
「どうせ誰のものでもない戦利品」だ」
笑みを浮かべて言葉を返すスキンヘッド
「・・・「返り討ちにしたら」」
スキンヘッドが右手で銃を抜いた瞬間、
男は体を反転させて銃を構える腕の内側へ体を滑り込ませました。
銃を構えたスキンヘッドの右手は
男の肩を越して何も無い空間を狙っています。
男の体はすでにスキンヘッドの左胸の前、
太刀の鞘が半袖シャツの胸から右の脇を押さえています。
そしてスキンヘッドの右の首筋には
抜かれた太刀の冷たい剣先が当てらてれていました。
男が言います、「撃ってみろ」。
隊長が二人を治めます。
「ようし、それまでだ。双方、得物を収めろ」
再び立ち去ろうとする男に隊長が後ろから声をかけます。
「お前さん、何か人生の目的があって渡り歩いているな？
それほどの腕の男が何に人生をかけているか、俺は知りたいねえ」
男は振り返らずに言葉を返します。
「とある王家を滅ぼすためだ」
この言葉を聞いた陸も、何かを感じたようです。
男はオープンカーで城壁の外へ向かいます、
歴史の目撃者になってほしいという衛兵の言葉を後ろに街を去る男。
荒野に車を走らせる男に向かって
助手席に座った犬が問いかけます。
「お名前を教えてください」
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以上がキノの旅の最新話『28話』のネタバレでした！
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キノの旅の最新話『28話』の感想と考察
シズと陸の出会いと2人の関係が作られた事件を扱ったエピソードです。
例によって登場する人物や町の名前は不明で
どんな事情で王族が倒されたのか
革命の目的は本当に達成されたのかなど、
描かれていない重要な部分が多い作品です。
シズに対する陸の態度が最初から少しおどけているような、
2人は対等であると感じているような距離感が楽しいですね。
シズの旅の理由と、彼自身の境遇を考えれば
王族が根絶やしにされたこの国の有様は
彼の心の風景と重なるものが多いでしょう。
王族の子女と思われる女の子が脳天を打ちぬかれた姿も
どこか遠い国の物語として書かれているので
凄惨な戦争の場面も、一つの昔話という寓話になっています。
まとめ
ここまでキノの旅の最新話『28話』のネタバレや感想、考察をご紹介してきましたが、
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