こちらの記事では(2019年9月9日)に発売された
雪女と蟹を食うの最新話『27話』のネタバレや感想、考察を
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雪女と蟹を食うの最新話『27話』のネタバレ
本当の幸せとは
はかなくこのままでもすぐに消えそうな雪枝を、
思わずしっかりと繋ぎとめるように
両腕に抱きしめた北。
絞り出すような声で雪枝がどうしてそんなにも
自殺したがっているのかを、
今更のように尋ねました。
気温が低い洞窟の中でひんやりというには
もっと刺すような寒さが二人を包み、
静寂が重く心を表すかのように満ちています。
北の腕の温もりの中で声が出たかのように
ポツンと語りだす雪枝。
「それはね・・・、あなたと同じ理由よ」
雪枝からは見えない肩越しの北の顔はハッとします。
思わず雪枝を腕から離して肩に手をかけ、
じっと北は雪枝の目を覗き込みますが
凍ったような表情からは思惑が見えません。
理由を話したか自分では記憶に曖昧なので、
雪枝にその旨を問うと意外にもいいえ、という答え。
しかし詳細は知らないけれど死にたがっている根本には
きっと同じものがあると思った、というのです。
わかる、という雪枝に対して北にとっては何もわかりません。
なぜなら雪枝は物質面では恵まれて
何でも持っている裕福な人間なのです。
しかし雪枝は静かに反論して
“北が持っているもの”を挙げていきます。
健康な身体があるのに働くことを放棄していること、
つまり金銭面などの問題が必ずしも
死を選ぶことにはならない、と・・・。
何も言い返せず、コツンコツンと北に後ろを見せて、
洞窟内を歩いていく雪枝を見ながら、
「旦那が構ってくれずに寂しいなら浮気の1つや2つすれば・・・！」
思わず自分の願望と重ねて訴えかけてしまいます。
それで死から逃れられるなら、と言う北ですが、
暗い表情を見せたままで雪枝はそれを否定します。
「それは本当の幸せじゃない・・・」
もう終わりにしたい
本当の幸せ、の意味を解しかねている北ですが、
自分の言葉に胸をつかれたらしき雪枝は
思わず自分の手を組み合わせています。
「もう終わりにしたいの、繰り返す日常を、
私という人間のこのつまらない物語を・・・」
北はこの言葉を聞いて雪枝がもうそれ以上、
何も聞かれたくないことを悟りました。
偶然取った雪枝の手を結んだ格好が祈りの姿のようで、
青く照らされた洞窟が氷でできた修道院のように見えるのを
ひしひしと感じながらー・・・。
八戸港で
そして二人は再び車を走らせて午後8時、
ついに八戸港へとたどり着きます。
レンタカーがフェリーに乗せられるのか、
また結構大きめの車種のために割合高いことを
北は心配しますが、
この車が気に入ったから“最後”まで付き合って欲しいと
雪枝が言うのでそれ以上は何も言えなくなってしまいます。
フェリーターミナルをぼんやり見上げながら北は、
焦燥感が潮風に乗って押し寄せるような気持ちを
何となく感じていました。
先に立って歩く雪枝が手続きをすることになり、
時間がかかりそうなので北にどこかで座って待つように指示。
そこで北はひと気がない寂しい待合ロビーにあがり、
すとんと一つの椅子に腰を下ろします。
落ち着くとさっき洞窟で雪枝に言われた
死のうとする理由は同じだという言葉が甦り、
今頃になって自分は違う理由であることが見えてきました。
今までの自分の生活がフラッシュバックされて
どんどん北の思考を埋め尽くしていきます。
常に苦しい生活、女からの裏切り、空腹、
カップルだらけの街で一人歩き続ける自分、
そして映画館でついにカップルに挟まれている時に
そんなことにいたたまれなくなり思わず席を立ったことー・・・・。
夢見た日々
そして運命のめぐりあわせのように
雪枝と死に至る旅に出たものの、
何度も自分に都合のいい妄想が浮かんでは消えていたこと。
雪枝に惹かれてしまった北の妄想は、
雪枝が時々夫の目を盗んで自分と会うことを
望むようになる、というはかないものでした。
雪枝も北に惹かれるようになり、そして死ぬことを諦めて
全く二人で別天地で暮らすという選択はせずとも、
刹那的にでも二人で手を携えて生きることを
望んで欲しかったのです。
日が柔らかく差す暖かな公園で二人待ち合わせをして
本を読みながら北を待つ雪枝、
小走りにそちらへ駆け寄りながら遅れたことを詫びつつ、
雪枝の優しい笑顔を向けられて自分も幸せそうに微笑み、
そしてー・・・。
そんな何気なくも小さく幸せな日を、
北はここまでで幾度となく妄想していたのでした。
（それだけで解決するようなことだったんだ、オレの理由なんて、
ただそれだけのことだったんだ・・・）
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以上が雪女と蟹を食うの最新話『27話』のネタバレでした！
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雪女と蟹を食うの最新話『27話』の感想と考察
雪女と蟹を食うの最新話27話、
祈りの巻でした。
切なく胸がヒリヒリと痛む回、
どうしても終焉に向かいたがる雪枝と
終焉から雪枝と希望に向かって歩いていきたい北・・・。
恋心が芽生えて育っていく北に対して
まだまだ凍って止まったままの雪枝の心は解けず、
ついに北海道へ渡る寸前まで来てしまいました。
夫の影の呪縛から雪枝を解いてあげるまでに
残された時間はもうそんなにないはず。
焦燥感が見え始めた北は次回、
思い切った行動に出るような予感がしますが
みなさんはどのように感じられたでしょうか？
次回、この予感を確かめることをお忘れなく！
まとめ
ここまで雪女と蟹を食うの最新話『27話』のネタバレや感想、考察をご紹介してきましたが、
いかがだったでしょうか？
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